横浜歴史さろん

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よこはま歴史仲間

大都市横浜には、郷土の歴史や文化について調査・研究している団体や、自主的に勉強しているグループがたくさんあるそうです。このページでは、そうしたお仲間の紹介や利用できる有益な施設の情報などを順次提供しています。

これまでにご紹介した団体、施設等の記事は「アーカイブ」にてご覧になれます。

横浜の歴史に関係する活動を行っているユニークなグループ、利用可の知られざる施設・建物などがあれば、紹介させていただきますので、ご連絡ください。
  rekishi@yokohamasalon.link

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★紹介コーナー No.17

「郷土の歴史を未来に生かす」青葉区郷土史の会

緑区在住の仲間のガイドが、「ハマッ子」ならず、横浜の端にいるから「ハジッ子」と称しているが、横浜市の北西地域(都筑区、青葉区、緑区)には、たかだか160年あまりの港ヨコハマの歴史とは対照的に、先史時代(縄文・弥生・古墳)の遺跡が多く残っている。市民として大変誇れることではないだろうか。
 青葉区では、「青葉区郷土史の会」により、歴史講座や歴史探訪が積極的に実施されていると知り、東急田園都市線市が尾駅から徒歩8分ほどにある青葉区役所内、区民活動支援センター、ミーティングスペースにて、代表のT氏と、前代表のY氏(現在は運営委員)に、お話を伺いました。(会の個人情報保護の意向により、代表・前代表はイニシャル名表示となりました)  (取材/文:渡辺登志子)

市ケ尾横穴古墳群
青葉区サイトより(画像提供:横浜市教育委員会事務局)

1.古代遺跡のある横浜の一番新しい区

青葉区は横浜市の区の変遷において、都筑区とともに平成6年(1994)に誕生した一番新しい区である。この辺りはかつて都筑郡といわれた。昭和14年(1939)、都筑郡の一部が横浜市に編入され港北区となった(都筑郡の消滅)。昭和44年(1969)、港北区から分区して緑区が誕生、平成6年(1994)、港北区と緑区が再編成され、青葉区と都筑区(「都筑」の名称復活)が新設された。緑区誕生当時、現在の青葉区域は、人口5万人ほどであったが、昭和59年(1984)東急田園都市線が開通したことで、大規模な宅地開発が進み人口が急増したことにより、緑区の北部が平成6年11月6日に青葉区となった。現在の人口は31万人余りである。

この区域には、弥生時代の朝光寺原遺跡や古墳時代の稲荷前古墳、市ケ尾横穴古墳群などさまざまな遺跡が点在しており、我々祖先の様子をうかがい知ることができる。また、江戸時代には、東海道の脇往還として大山街道の通った荏田周辺は賑わっていたことも大きな特徴である。

青葉区のホームページを見ると、区民活動へのサポート体制が手厚いと感じる。快適なミーティングスペースがあり、まち活コーディネーターが常駐していて、「まち活」(区民が青葉のまちで活き活きと活動し、まちをさらに元気に・魅力的にする)を支えている。様々な地域活動情報や学習情報があるなかで、青葉区郷土史の会の活動は毎年注目を浴びている。

2.「青葉区郷土史の会」単年募集制度で活動を実施

「青葉区郷土史の会」は2016年4月1日に設立された。会の目的は、「青葉区及びその周辺地域の郷土の歴史、文化の実証的研究を通じて地域文化の向上に寄与し、自己研鑽と会員相互の親睦を目的とする」とある。企画運営をする継続的な運営委員は代表を含む6名である。 会の事業の最大の特徴は、毎年事業毎に単年参加者を募集し、年6~8回の例会「青葉のあゆみ歴史探訪講座」を行うところにある。1回あたりの参加費用は500円となっている。

【青葉のあゆみ歴史探訪講座】

2021/7/9歴史講座「仏像の種類と横浜の仏像」

中心となる事業の「青葉のあゆみ歴史探訪講座」は「歴史講座」と「歴史探訪」で組み立てられている。昨年2021年を例にとると、応募者が55名で抽選後に事業参加者となったのは49名、約半数が新規参加で、女性が約4割。応募者数は年々増加傾向で、過去3年は抽選となっている。これはコロナ禍の影響で、遠出ができないことから地元で学んで楽しもうという動向と考えられている。他に単独の公開講座などが2回ほどある。どの行事も青葉区役所との共催事業となっている。

●歴史講座―聞いて・学んで

暑い夏場は空調の効いた室内での座学が行われる。テーマとなるのは、政治・社会から文化まで多岐にわたり、原始・古代から近現代まで幅広く取り上げられている。講師には、地域史研究家、博物館学芸員等を招いている。

時代別割合と講座名の例

原始・古代 11%  コメ作りのムラ朝光寺原遺跡、鶴見川流域への馬の伝来
中世 28%  恩田堀之内の空堀と恩田氏、仏像の種類と横浜の仏像
近世 39%  徳川ゆかりの由緒と村々、江戸時代・庶民の旅
近現代 17%  都筑郡と都筑郡郡役所ものがたり、「峠」と横浜
複数の時代 5%  地誌から見た青葉区

●歴史探訪―歩いて・感じる

歴史探訪は、歩きやすい秋から冬の時期に実施される。1グループ約15名で、昨年は3グループ。行先は、青葉区内、旧都筑郡内を中心に、寺社や史跡から道端の石塔物などまで訪ね歩く。

地域別割合とコース名の例

早渕川流域 9%  牛込・平川・保木、剣神社と鎌倉道・荏田宿
鶴見川流域 30%  五か村用水路、大場地域、谷本川右岸を歩く
恩田川流域 22%  恩田・あかね台方面、奈良緑山、田奈界隈を歩く
複数の流域 8%  区内の古墳
大山街道 9%  市が尾地蔵堂~田奈、市が尾~長津田
青葉区以外 22%  篠原城、シルク博物館・新聞博物館

2021/11/12早渕川左岸を上り、宮前区へ

●歴史探訪ではこんな出来事も

鉄町(くろがねちょう)の“おしゃもじ様”(乳幼児がかかる百日咳除けの祠(ほこら))を参拝中のこと、たまたま地主のご家族が現れ、祠の鍵を開けてくれたので、参加者は沢山のおしゃもじを目の当たりに見ることができ、大変ラッキーだったという。 また、あるお寺では、ご住職のご厚意で本堂への立入りが許され、講和も頂いて、これで十分と思っていたら、さらに境内も案内していただいた。

横浜市歴史博物館 企画展
「すくすく育て みんなの願い」の案内から

住んではいても、実はほとんど知られていない所を訪ねるのも、歴史探訪の大きな魅力である。東名高速道路と246号線が交差する江田駅付近には、大昔の人たちの姿を描いたレリーフがある。参加者の大半はガイドに案内され、その存在を初めて知ることになる。(是非行って、探してみては?)
 こどもの国の入口を入ってすぐ左には防空壕がある。よく知られている弾薬庫のほかにも、ガイドの防空壕の説明で、戦時中の田奈の様子を  知ることができる。
 参加者からは「詳しい解説を聞きながらの散策は楽しかった。地元について知らないことばかりだった。」「地元でありながら未だ未体験の所を教えていただき大感謝。「新しく変わった所もあったが、寺社や遺跡の多くは以前のままで懐かしい思いで歩いた。」など喜びと感謝の声が多かった。

【青葉のあゆみ歴史講演会(公開講座)
政治・社会から宗教・美術まで、幅広いテーマと講師陣で継続的に開催されている。

2016年 踊り念仏と一遍 遠山元浩氏
2017年 浮世絵と名所絵
江嶋縁起から鎌倉の西方浄土を考察する
藤沢 紫氏
遠山元浩氏
2018年 奈良・平安時代の横浜
寛元銘の板碑
鈴木靖民氏
坂本 彰氏
2019年
区制25周年記念
青葉区と大山街道
古代の横浜・アラカルト
佐藤大住氏
鈴木靖民氏
2020年 江戸時代の旅と信仰 池上真由美氏
2021年 都筑の古刹・王禅寺と禅寺丸柿 相澤雅雄氏

パネル展 現地を歩いて、古文書を読んで、調べあげた「手作り」の資料

2016年 鉄(くろがね)の昔を訪ねて 横浜あおば史談会共催
2017年 青葉区の富士塚めぐり 横浜あおば史談会共催
2018年 六阿弥陀詣 横浜あおば史談会共催
2019年
区制25周年記念
伊勢参宮まいり道中記 横浜あおば史談会共催

新規の講座

2013年(会発足前) 初心者向け古文書入門講座
2018年 夏休み子ども歴史講座 ~土器づくり
2022年 学んで歩いて、初めて触れる青葉のあゆみ 

   

3.ずっと積み重ねてきた郷土史研究・学習

「青葉区郷土史の会」としての発足は6年前であるが、実は、この区域の郷土史研究はずっと前からあった。かつては都筑郡として、昭和14年からは港北区、昭和40年代~平成初期は緑区として、郷土史の調査研究活動は行われていた。
 約25年前、前代表のY氏が活動を始めた頃、地域振興課生涯学習支援係の共催で、携わったのが1998(平成10)年発行の「まち・街ウォッチング 青葉区ふるさと散歩マップ」という冊子(画像)だった。郷土史講座も行われ、冊子を制作したメンバーがガイドとなり、参加者を案内した。その後も区の支援を受けて1~2年に1回の割合で郷土史講座、歴史探訪講座、古文書講座、マップ制作、冊子制作、なども行われてきた。
 2002(平成14)年には、新たに「青葉区古文書の会」(古文書学習、代表・Y氏)が発足した。
 Y氏は青葉区のこれまでの郷土史学習講座を作り上げてきた第一人者で、青葉区区制15周年(2009年・平成21年)記念事業では、「青葉のあゆみ」という区域を対象とした初めての郷土史及び「青葉区歴史めぐり」という歴史散策マップ出版、20周年(2014年・平成26年)記念事業では連続講演会、青葉区の歴史と文化財を紹介したDVD制作などにも協力してきた。Y氏は最近、代表職をT氏に引き継いだが、今もお元気に活動にされ、郷土史学習者の大きな励みとなっている。

4.郷土史研究・学習で地域と住民に活力を

歴史講座が開かれるとどこでも、70代が圧倒的に多い。多くの横浜都民だった団塊の世代が今や70代半ばを迎えている。しかし、高齢にはなったが、地域のことは殆ど知らない。それで、地元の歴史講座にでも行ってみようか、ということで参加する人が多いようだ。そして、郷土の歴史・文化に触れ、その魅力の虜となる。現代表T氏もその一人で、2014年の区制20周年記念事業のひとつ「大山道を歩く」に、退職後参加して、郷土に魅了され、郷土愛に目覚めたという。
 青葉区には多くの古代遺跡があり、鶴見川、恩田川もあり、大山街道も通っていることから、郷土史学習そして歴史探訪に事欠かない。こうした学習・探訪を通して、さらに研究に至れば、世界がどんどん広がり、さらなる知的好奇心により、健康的に長生きできるのではないだろうか。

以上

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